フランスの大学やグランドゼコールへ入学する方法
フランスの大学へ正規留学するには、どの学年へ編入するかによって手続きは違ってきます。
フランスの大学の学年制度
- 1,2年 一般教養過程DEUG ドゥグ
- 3,4年 学士過程 licence リソンス
- 5,6年 修士課程 master マスター
- 7年〜 博士課程 doctorat ドクトラ
1、2年の過程では一般教養を学ぶので、選択した学科の専門科目と、英語(英会話)、その他の学部の科目必修等を取得するようになります。
3年目の学士課程は、まだ論文を作成することはありません。
学科によって取得する専門科目は違いますが、学士過程からぐっと1クラスの人数は少人数になります。
特にパリ以外の地方大学であれば、学士1クラス10人〜20人に限られるので、密度の濃い勉強ができます。
私がいた学科は、歴史・美術史・考古学学科だったので、3年目からはラテン語やギリシャ語の必修、中世の土着語等、フランス人でも知らない人が多い知識を学べたので、ラッキーでした。
大学付属の語学学校への留学や、大学の交換留学とは違い、入学する時のフランス語能力は現地のネイティブ並の実力を要します。
日本のように一流大学〜3流大学のように大学のランク付けはありません。
どの大学も特色をもっています。
パリの大学へは、外国人の入学は3年目の学士入学以上から認められています。
1,2年への大学入学は、パリ以外の地方大学への申請となります。
卒業するのも至難の業。
大学は学問だけを学びに行くところとフランスでは位置づけされています。
日本のようにサークル活動に精をだしたり、アルバイトに明け暮れる生活はないと思ってください。
必死に授業についていき、ディプロムをもらうのはフランス人でも学問の能力がある人だけです。
留年も認められるのは1年間のみです。
あとは退学するしかありません。
個人的に、1〜3年目の入学より、日本の大学で修士課程を卒業もしくは在学中に、フランスの大学4年目(修士課程)以上に編入することをオススメします。
なぜなら、1,2年目は、教養課程なので、専門外の知識の習得ももとめられます。
全てフランス語で講義が行われ、教授が言っていることを理解するのも四苦八苦。
最初の1年目はノートをとるのも難しいと思います。
そういう状態で、ヨーロッパやフランスの歴史、地理、心理学、フランス語、英語等の科目も取らなければ単位はとれません。
フランス人だけでも1年から2年へ上がったときは、入学当初の約半数になってます。
それだけ試験で落とされます。
だから、日本で修士課程以上まで研究して、自分の専門科目だけをとるだけでいい修士課程からの留学の方がまだ多少楽になります。
それでも私の周りの修士課程に留学した日本人留学生は、フランス語の理解に相当苦しんでいました。
フランススの大学に入学・編入するには?
フランスの大学に正規入学する場合、ビザ申請する前にやるべきことをお伝えします。
フランスの大学の1年目〜修士課程に入学する場合
この場合、まだフランスの大学から入学許可が下りていない留学生が対象です。
- 入学資格
日本で高卒だけの資格ではフランスの大学やグランド・ゼコール、高等専門学校には入学資格はありません。
- 必要書類
- 高校卒業証明書
- 専門学校・大学・大学院の在学証明書または卒業証明書
全ての書類に仏語の法定翻訳が必要です。
(念のためコピーを数部作成しておいたほうが、あとで必要になる場合もあります。)
- 出願方法はネットで!
出願期間 12 月上旬〜1 月下旬頃
大学出願書 DAP (Demande d’admission prearable)を取得する
キャンパスフランス Campus Franceへ登録して大学へ出願
www.japon.campusfrance.org
↓
キャンパスフランスのサイトで自分のアカントを作成
同サイトの「フランス政府留学局オンライン応募フォーム」からログイン
同サイトのオンラインフォームで仮登録証を作成
↓
Campus France ? CEF への手続料を支払う
同サイト→自分のアカウント:「私の応募書類」→「Campus France応募申請手続き料金の支払いをする」
振込み完了後、「支払い申告」をする。
Campus France でオンラインフォームの認証処理が完了すると、Campus Franceで作った自分のアカウント内のメールボックスに面接に関するメッセージが送られてきます。
- フランス語学力試験 TCF-DAP の受験
試験期日:2 月頃
この試験はフランス語の聞き取り能力と小論文形式の筆記能力が求められます。
小論文の書き方は「起承転結」ではないので要注意。
このフランス語能力テストに受かる人数は、毎年数名のみです。
私がこのテストを受けた時は、やっと3回目に受かりました。
(つまり3年かかったということ。)
私が受けた時は設問は2つあり、1つ目はフランス語のインタビューや論説などを聞きとりし、それにつき小論文形式でそのテーマについてまとめたり、意見を述べたりしました。
私が受験した時の対談は、バレエ界の巨匠ベジャールと世界的なダンサーシルヴィ・ギエムの対談でした。
得意中の得意部門の問題だったので、今思うと本当にラッキーだと思います。
2つ目の設問は、1つのテーマがかかれてあり、それについて自分の意見をまとめるということでした。
当時、バレエ学部(理系に属します)を選択していたのでテーマも理系のテーマで、「水の循環について論理的に述べよ」というテーマでした。
詳論形式なので、当時、A3サイズの紙1枚、裏表に記入した記憶が残ってます。
フランスの(小)論文の書き方
3部分に分けてテーマを論証する。
3つのパートは、それぞれ大きな1つのテーマを扱います。
最初のパートの前にイントロ intoraduction をつけ、最後の1つ目のパートの後に結論 コンクルジョン conclusion をまとめます。
- 3つのパートが論理的に論証できているか
- 仏語の誤字・脱字はないか
この2つが評価の対象になります。
- Campus France での面接
期間: 1 月上旬〜3 月下旬
この面接に受かれば、CampusFrance から登録時に書いた第1 志望の大学へ応募書類が送られることになっています。
- 合否通知
期間: 4 月上旬〜6 月下旬
フランスの大学側の書類審査と試験・面談の結果で合否が本人へ通知されます。
Campus Franceのオンラインフォームで合格後または面接予約と同時に「学生ビザ申請」の予約手続きをとります。
申請からビザ取得まで約1〜2ヶ月かかりますが、
語学留学生と違い、正規の大学生となるわけだから、学生ビザを拒否されることはめったにありません。
入学は9月からですが、ビザが発給されてから3ヶ月以内にフランスで滞在許可証を申請しなければいけないので、渡仏は7〜8月になります。
フランスの大学へ3年目(学士)以降へ編入する場合
留学する方のフランス語能力と専門知識と日本の大学での成績証明書によってもちがいますが、France Campusで手続をする場合が多いです。
必要書類
- 高校卒業証明書
- フランス語能力を証明する書類(語学学校でとった講座や、DELF,DALFの合格書等)
- 日本の大学・大学院の成績証明証
- 大学卒業者は卒業証明証
全ての書類に仏語の法定翻訳が必要です。
出願方法
Campus Franceでの登録の仕方は大学1年目に入学する方法と同じく、ネットのオンライフォームで自分のアカウントを作成します。
Campus Franceから希望する大学へ編入希望の意図は伝えられますが、合否は大学側の回答によります。
仏語能力テストの受験は必須です。
ケースバイケースですが、志願者が多い大学(大学院)では、独自に面接や詳論文を課す場合もあります。
いずれもネイティブと同等のフランス語能力は要求されます。
修士課程以上へ留学する場合
フランスの大学の教養課程や学士編入では、直接フランスの大学へ問い合わせて入学許可をもらうことはめったにありませんが、修士課程以上になると、担当の教授や助教授の下で研究をすることになります。
そのため、直接大学へ問い合わせて、入学を許可してもらうことも可能です。
その場合、希望する大学に留学したい年の1年前から、大学に手紙やファックス、ネットで編入したい旨を伝え、直接やりとりをするようになります。
個人的な経験ですが、パリ以外の地方の学部の事務は、普通に仕事をやっています。
よく、手紙やFAXをなくしたり、「私は知らない」と責任逃れするフランス人もいると聞きますが、大学、専門学校、グランドゼコールの事務はそんなに腐ってはいません。
手紙で問い合わせれば、返事は遅いですが回答は帰ってくる場合が多いです。
専門分野の研究ともなると、その道の教授や助教授がいない場合もあります。
また外国人嫌いな教職者もいます。
編入がうけいれられるか否かは、その時の運にかかっていることも多いです。
あきらめずに何度もやりとりをすることをオススメします。
間違っても英語で文章を書かないように。
相手はフランス語にプライドを持っている人たちです。
フランス語に自信がなければ、公式文書を書く業者に頼むことも必要です。
入学許可証を大学から直接得られれば、あとはキャンパスライフでビザの申請面接の手続をオンラインフォームでするだけ!